LINEの問い合わせ3,156件を数えたら、
最多は「台風」だった
結論。沖縄のマリンショップにいちばん多く届く相談は、天候・台風による日程変更です。予約でも、料金でもありません。当社が運営に関わる沖縄県内のマリンサービス3店舗が共用する予約業務システムに蓄積された、お客様とのLINEメッセージ約3,156件を集計した結果です。この記事では、件数の内訳、内容の上位6テーマ、そして「どこまでAIに答えさせたか」を、調査方法つきで公開します。
調査方法(先に書きます)
数字を出す記事では、方法を先に書くのが誠実だと思っています。
- 対象:沖縄県内のマリンサービス3店舗が共用する予約業務システム(NiraiDesk=ニライデスク)の本番データベースに蓄積された、LINE経由の送受信メッセージ。
- 件数:約3,156件(読み取り専用で集計。データの追加・変更は行っていません)。
- 集計対象期間:システム稼働開始から2026年6月まで。処理待ちのメッセージの月別分布は2026年4月183件・5月238件・6月135件で、特定の月に滞留したものではなく、期間全体に散らばっています。
- 内容の分類:全件を人が読むことは現実的でないため、無作為に抽出した50件の本文を人が読み、テーマを分類しました。順位はこの50件に基づく定性的な観察であり、3,156件全体の厳密な構成比ではありません。
- 個人情報:氏名・連絡先・個別の本文は一切公開しません。本記事に載せるのは集計値とテーマだけです。
- 限界:1事業者・3店舗・沖縄という条件下の実測です。他地域・他業態にそのまま当てはまる保証はありません。
件数の内訳
メッセージは「受信か送信か」と「処理がどこまで進んだか」で分類されています。主なものは次のとおりです。
| 区分 | 状態 | 件数 |
|---|---|---|
| 受信 | 対応済み | 787 |
| 受信 | スタッフ対応待ち | 556 |
| 送信 | 送信済み | 552 |
| 受信 | 記録のみ(要対応でないもの) | 420 |
| 受信 | 自動解析済み | 373 |
| 受信 | 学習用に印をつけたもの | 167 |
| 送信 | 学習用に印をつけたもの | 167 |
| 受信 | 予約として登録済み | 110 |
| 受信 | 空き状況の問い合わせと判定 | 15 |
| 受信 | 予約意図ありと判定 | 5 |
| 受信 | スタッフ呼び出しの要求 | 4 |
ここで注目してほしいのは「スタッフ対応待ち 556件」です。放置された未処理ではありません。意図的に人へ回された件数です。理由は後述します。
いちばん多い相談は、天候・台風だった
無作為抽出した50件を読んだ結果、テーマの多い順は次のとおりでした。
- 天候・台風による日程変更——最多。かつ、最も判断の重いテーマ。
- 送迎・アクセスの可否——「このホテルまで迎えに来てもらえますか」。エリア依存で、答えが店ごとに違う。
- レンタル・装備——水着は必要か、ウェットスーツはあるか、身長体重を伝える必要があるか。
- 予約手続き——他の予約サイトで取ったプランの扱い、1名での参加可否、「既読がつかないけど届いていますか」という不安。
- 持ち物——タオルは何に使うのか、といった具体的な用途の確認。
- 集合時間・当日の連絡——直前の確認。
沖縄でマリンをやっている方には、たぶん驚きのない順位だと思います。それでも数えた意味は、「感覚で分かっていたこと」が「数字で言えること」に変わった点にあります。感覚は引き継げませんが、数字は引き継げます。
台風がなぜ、いちばん重いのか
件数が多いだけではありません。台風の相談は1件あたりの処理が最も重いのです。
台風が近づくと、対象日の予約者全員に連絡が要ります。振替先の空きを見ながら日程を組み直し、返金の要否を判断し、他の予約とぶつからないか確かめる。1件ずつ予約を開いて、電話をかけて、LINEを返す。私の店では、これで半日が消えていました。
だからニライデスクでは、対象日の予約者を絞り込んで一斉に連絡し、振替先の空き枠を見ながらその場で予約を動かせるようにしました。判断そのものは人が行い、判断の前後にある単純作業だけを機械が引き受ける——この線の引き方が、沖縄のマリンでは特に効きます。
もうひとつの発見——AIは、答えていなかった
この集計でいちばん安心したのは、実はここです。
自動送信されたAIの返信30件を抜き出して全文を読みました。結果、AIの返信は2種類しかありませんでした。
- 新規予約が入ったことの確認通知。
- 「担当のスタッフが確認のうえご回答します」という、人へ引き継ぐ旨の返信。
「その日は催行できます」「送迎できます」「変更できます」とAIが独断で断定した例は、ゼロ件でした。台風・変更・キャンセル・送迎・1名参加といった判断の要る相談は、ほぼすべてが「スタッフ対応待ち」に積まれ、人に渡っていました。先ほどの556件の正体はこれです。
海は、判断を間違えると人が死ぬ場所です。効率化のために、その判断を機械に渡す選択は私にはありません。ニライデスクは、こうして生まれたにも書きましたが、AIは裏方に徹させています。
この数字から、明日できること
同業の方が、今日から自分の店でできることを3つ書いておきます。仕組みを入れなくてもできます。
① 台風のときの連絡文を、先に作っておく。台風が来てから文面を考えるので半日かかります。「催行判断の連絡はいつ行うか」「振替はどこまで可能か」「返金の扱い」を、平時のうちに1枚にまとめておいてください。
② 上位3テーマを、予約完了メールに先回りで書く。天候時の扱い・送迎範囲・レンタルの有無。この3つを予約時点で伝えておくだけで、問い合わせの総量が目に見えて減ります。
③ 自動化してよい質問と、してはいけない質問を紙に線引きする。事実を答えるだけの質問(持ち物・集合時間・レンタルの有無)は自動でいい。判断が要る質問(催行・変更・体調)は必ず人へ。この線を先に引かないと、AIを入れた瞬間に事故が起きます。
数字の使い方について
この記事の数字は、引用していただいてかまいません。その際は「沖縄コミュニケーションサービス株式会社/NiraiDesk本番データ・2026年」と出典を明記していただければ十分です。数え方に疑問があれば、LINEで直接聞いてください。答えられる範囲で答えます。
台風の半日を、取り戻しませんか
同じ海の現場に立っている人間が、LINEでお返事します。まずは3分診断で、あなたの店から毎月何時間が消えているかを見てみてください。